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大岡昇平が私たちに教えてくれること

2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

大岡昇平『狡猾になろう』 言葉の結合による面倒な思考から逃避しキャッチ・フレーズにキャッチされ、集団にとけこむ快楽を見出そうとする。これは戦前、国民大衆を軍部の望むままに操るために、マス・メディアが文化官僚と共謀して行った手段であり、東西緊…

大岡昇平『成城だより III』 本年度中に防衛費GNP1%を越すこと、閣議決定。なんでも閣議できめ発表するのなら、議会討論など無意味だ。

大岡昇平『人間差別がたどる運命』 社会の情報化がすすむにつれて言論の果す役割は大きく、体制側にとって統制が必要になって来る。戦時中と同じように御用学者がまた発生する。彼らは論理ではなく、ただことばを飾るだけの修辞学によって管理社会を弁護する…

大岡昇平『愛について』 「やさしさだけが愛ではないのです。醜い地球の生活で、四六時中、妻にやさしくしていられるはずがありません。特別なものとして、まつり込まれていただけです。あなたが何をいっても怒らず、さからわず、いたわりだけで愛される。こ…

大岡昇平「成城だより」 事件は支配者の好むことしか伝わらない。

大岡昇平『わが文学生活』 つまりぼくには、日常生活に生きている人間が、実は一つの大きな政治的な力で支配されているんだという認識があるわけですよね。

大岡昇平『出征』 しかし今こうしてその無意味な死が目前に迫った時、私は初めて自分が殺されるということを実感した。そして同じ死ぬならば果たして私は自分の生命を自分を殺す者、つまり資本家と軍人に反抗することに賭けることはできなかったか、と反省し…

大岡昇平『歴史小説論』 (司馬遼太郎、松本清張)共に「庶民的」な角度であるが、この観点からは歴史上の人物は現代人に換算されて現われる。こういう「庶民」は1930年代に沈黙して戦争に協力しただけでなく、今日同じ沈黙によってソルジェニーツィン事件、…

大岡昇平『俘虜記』捉まるまで 私は既に日本の勝利を信じてゐなかった。私は祖国をこんな絶望的な戦に引きずりこんだ軍部を憎んでゐたが、私がこれまで彼等を阻止すべく何事も賭さなかった以上、彼等によって与えられた運命に抗議する権利はないと思はれた。…

大岡昇平「幼年」 私はその後もそうだが、いわゆる秀才ではなかった。小学校六年を通じて、優等になったのは六年生の時だけで、それまではやっと級の十番以内にいる程度だった。(略)入学するまで、両親は片カナと足し算引き算を教えることしかできなかった…

大岡昇平『野火』 絶えず増大して進む生命という仮定は、いかにも近代人の自覚心に媚びる観念であるが、私はすべて自分に媚びるものを警戒することにしている。事実私の現実の生活において必要なのは、私が前進している自覚ではなく、抵抗物を見きわめ、乗り…