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大岡昇平が私たちに教えてくれること

2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

大岡昇平『野火』 彼らは要するに私同様、敗北した軍隊から弾き出された不要物であった。(中略) しかし今その一員として彼らの間に入って、私は彼らが意外に平静なのに驚いた。内に含むところあるらしい彼らの表情からみて、彼らが一人一人異なった個人的…

大岡昇平『わが文学生活』 いつの時代でも社会は大体同じような構造を持っていると思いますよ。戦後の社会だけが複雑なわけはない。かりに特に複雑であるとしても、複雑であるなりに分析することが人間にはできるはずですがね。

大岡昇平 「サクラとイチョウ『朝日新聞』」 日本的美の観念は、私の育った大正時代には、それほどいわれなかった。戦争中の国威称揚主義時代に植えられた木が、今日成長して、街路や校庭を飾るようになったのである。

大岡昇平『再会』 人いきれの中で私の精神は勝手に動いていた。私に果して「従軍記」が書けるだろうか、とばかり考えていた。いくらX先生におだてられても、私は自ら顧みて自分に才能のかけらも見出すことは出来ない。青春の十年を無為に過ごし得たというこ…

渋谷、下北沢、京都、神戸、鎌倉、大磯、成城…大岡昇平の住んだ場所を歩きたい

大岡昇平『成城だより』 私は「赤い鳥」の少年投書家であり、成城高校(旧制)の第1回卒業生である。つまり骨の髄まで、自由と童心に毒された人間であった。