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大岡昇平が私たちに教えてくれること

2022-12-01から1ヶ月間の記事一覧

大岡昇平『俘虜記』 下士官は既に軍隊内のその位置に快適を感じ、自己の個人的幸福のためにも、この組織を支持する意識を持ったエゴイストである。彼らは特権によって誘惑された者どもであり、特権ある者は常に堕落するのである。

大岡昇平「無罪」新潮文庫あとがき なによりも「真実のすべて」が法廷に出るという原則は、有罪になるにせよ、無罪になるにせよ、当事者にとっても、人民にとってもよいことだと思われます。 判事や検事の専門家意識、司法権力を行使するという強権意識、そ…

大岡昇平「文学の運命」 戦後二十年、私はもう五十六歳である。この先何年生きられるか。日本はこれからどうなろうと、よし人類が滅亡しようと、どっちでもいいといえないこともない。しかし将来に幸福の可能性を持った若者たち、私の娘や息子はどうだろうか…

大岡昇平『成城だより III』 本年度中に防衛費GNP1%を越すこと、閣議決定。なんでも閣議できめ発表するのなら、議会討論など無意味だ。

大岡昇平「サッコとヴァンゼッティ」 彼はさらに事件に関係していたと告白した死刑囚マディロスのことにも言及しているが、法廷外のこの種の立証されない記述は、結局は無力である。裁判批判一般が政治の前には最終的に無力であるのは、40年後の日本と同じで…

その人物が対象を前にしてどんな態度を取るか

大岡昇平『現代小説作法』 派手な文体、地味な文体、力強い文体、軽快な文体、などなど、種々の形容が、批評家によって、作家を月旦するに使われますが、それはある作家の文章を読んで、あたりさわりのない印象の表現です。作家が力強い文体を目指して、実際…