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大岡昇平が私たちに教えてくれること

2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

大岡昇平『僕の読書法 ⑶』 傑作といふのは何等かの形で著者の全精神が現はれてゐるもので、それは二遍や三遍読んだくらゐではとてもわかるものではないと信じます。自分の気に入つた本は、飽きるまで何度でも読むこと。これはその本のみならず著者の全精神を…

大岡昇平『俘虜記』 現在の状態がどういう種類の政治的暴力の結果であるかがわかれば、おのずからそれに対処する方針も出て来るわけだ。方針なくただ習慣に従つているのは、つまり彼等が知ろうとしないからで、これもやはり専制の連続によつて彼等の得た怠惰…

大岡昇平『三十八年目の八月に』 わけのわからないことが、行われるなかで、たとえその効力に疑問があるにしても、記録にとどめておくべきだ、と思っています。

大岡昇平『愛について』 どんなささやかな片隅の幸福も、人間の信念と努力の上に築かれるものである。現代の巨大な管理社会の組成の一人として、機械的な生活を送る者でも、人間が理性的動物である以上、社会が作った枠を越えて無限に拡がろうとする欲望と、…

大岡昇平『わが文学に於ける意識と無意識』 現在、私は『レイテ戦記』の準備をしています。『野火』を書いた時、乏しい資料、俘虜からのあやふやな聞書によって、レイテ島の陸上戦闘の詳細を誤り伝えたのを恢復するためです。私の主題に深くかかわらないとし…

大岡昇平『俘虜体験 復員』 大久保へは夜着いたんですが、家がなかなかわからなくてねえ。やっと見つかって「足ありまっせ」って入っていったですよ。女房は神戸の人間だから、ぼくも家で喋る時は関西弁だったんですよ。