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大岡昇平が私たちに教えてくれること

2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

大岡昇平『愛について』 梶本は正常な結婚生活を送り、子女に十分な教育を与えることが出来る、理想に近い父親であった。それなのに人に知られさえしなければ、快楽追求の分野では、なにをしてもいいような気になっていた。それは結局、この善良な家長が、普…

大岡昇平『レイテ戦記』 レイテ島の戦闘の歴史は、健忘症の日米国民に、他人の土地で儲けようとする時、どういう目に遇うかを示している。それだけではなく、どんな害をその土地に及ぼすものであるかも示している。その害が結局自分の身に撥ね返って来ること…

大岡昇平『私の教養』 わかることと表現することは違う。表現するためには材料を知悉していなければならぬ。悉く知るのは不可能だとしても、出来るかぎりの知識を蒐集しなければならぬ。一つの外国語の構造も呑み込めぬ怠けた頭で、日本語の構造がわかるはず…

大岡昇平『作家の日記』 犯罪型の人間がいるように自殺型の人間というものもいるもので、ほとんど生得といってもよい。しかしそれが実行に移されるかどうかは、大抵偶然の事件の組み合わせにかかっている。新聞や週刊誌が誇大に扱わないのが望ましい。 (略…

大岡昇平『愛について』 どんなささやかな片隅の幸福も、人間の信念と努力の上に築かれるものである。現代の巨大な管理社会の組成の一人として、機械的な生活を送る者でも、人間が理性的動物である以上、社会が作った枠を越えて無限に拡がろうとする欲望と、…

大岡昇平『戦争』あとがき 「国難」「非常事態」など状況の概念化、情報操作の組織化の現状にあっては、なにか事があればひどい目に合うのはまたもやわれわれ国民ではないか。

大岡昇平『戦後四十年を問う』 核と戦争を警告する声もあります。しかし多数をたのみおごり高ぶった政府は、問答無用とばかり既成事実を作ることに専念しているように見えます。