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大岡昇平が私たちに教えてくれること

大岡昇平『作家の日記』

犯罪型の人間がいるように自殺型の人間というものもいるもので、ほとんど生得といってもよい。しかしそれが実行に移されるかどうかは、大抵偶然の事件の組み合わせにかかっている。新聞や週刊誌が誇大に扱わないのが望ましい。

(略)

 僕が自殺型であるのは自分で知っている。十八歳の頃は、人生はたしかに生きるに値しないと確信し、自分を生んでくれた両親を怨んでいた。

 しかし半年ばかり自殺のことばかり考えていたのは、丁度芥川龍之介が自殺して、新聞雑誌に記事が出通しだったからである。