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大岡昇平が私たちに教えてくれること

2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

大岡昇平『狡猾になろう』 人がそのおかれている社会的条件を知ろうとする意志を失う時は、最も煽動に乗り易い時である。

大岡昇平『野火』 絶えず増大して進む生命という仮定は、いかにも近代人の自覚心に媚びる観念であるが、私はすべて自分に媚びるものを警戒することにしている。事実私の現実の生活において必要なのは、私が前進している自覚ではなく、抵抗物を見きわめ、乗り…

大岡昇平『舞妓』 しかしお客の方では、彼女たちを一人の人間として見ないことは、昔とかわりはない。まあほんとに可愛いわね。一体なにを食べて生きてるのーーなんて言う女客もいるにちがいない。いつもは客に見せる顔をつくり、お客の「舞妓はん」のイメー…

大岡昇平『中原中也の思い出』 彼は彼の詩が人を動かすだけではなく、彼という人間が人に認められることを欲した。彼の伝説的毒舌、無限の喧嘩は主としてこの希望が、そう簡単には実現されなかったため起ったものである。 彼は彼の考えていたバルザックと共…