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大岡昇平が私たちに教えてくれること

2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

大岡昇平『文学の運命』 三島は最近『秘薬』で、ついに表看板の男色から脱出した。つまり近く佳人と華燭の典をあげる準備工作ではないか、と気を廻すわけだが、そこで彼の男色が本物か文学的擬態か、佳人にかわってテストをする。

大岡昇平『文学の運命』 こんな受験参考書的知識すら僕が持っていなかったのは、ひとえに僕が青山学院、成城と三流のコースをたどっていたからである。府立一中の入学試験に落第したことを白状すると、三好さんはまた、「お前とはもう話をせん」と怒った。

大岡昇平『愛について』 家が面白くなくなったのは、高校へ進み、駅前の繁華街の夜遊びをおぼえてからである。公務員である新しい父の手前があるのか、母がそういう行動をうるさくいった。弟と妹が生まれていた。新宿の東口前の広場に、たむろする若者のうわ…

大岡昇平『文学の運命』 これから先は実に長い長い物語になるので、私の青春放浪は一応これまでにする。最近三島由紀夫や石原慎太郎が、私の小林や中原に関する回想を読んで、ああいう充実した青春はわれわれにはなかったと嘆いているが、私とても別に人と違…

大岡昇平『無罪』新潮文庫 あとがき ここに集めた13篇の裁判物語は、1956年から62年の間に、「小説新潮」「オール読物」などに発表したものです。「松川事件」「八海事件」が高裁、最高裁の間で「上告」「差戻し」をくり返していた頃です。私はむろん裁判は…

大岡昇平『武蔵野夫人』 男は彼女にとって、自分の魅力を映す鏡としてしか興味のないものであったが、それに最も敏感に反応するのが大野であったから、彼を悪くは思っていなかったのである。

大岡昇平『エンターテインメントとポストモダン』 西欧の新しい哲学は、権力との関係を常に頭においているのに、日本のポストモダンにはそれがない。ボストンのシンポジウムに集った外国人に「抵抗」がないとうつったこの保守性ーそれはいまやれっきとしたフ…