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大岡昇平が私たちに教えてくれること

大岡昇平『無罪』新潮文庫 あとがき

 ここに集めた13篇の裁判物語は、1956年から62年の間に、「小説新潮」「オール読物」などに発表したものです。「松川事件」「八海事件」が高裁、最高裁の間で「上告」「差戻し」をくり返していた頃です。私はむろん裁判は素人で、半分勉強のために書いたものです。