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大岡昇平が私たちに教えてくれること

2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

大岡昇平『私の読書法』 しかしその頃私は小説を楽しみだけのために読んでいたのではありません。これから入って行く、大人の世界がどういうものであるか。人生とは何か、を知ろうとして、読んでいたのです。近代文学はただ面白おかしくスリルに富んでいる、…

大岡昇平『再会』 ただ私は「書く」ことによってでもなんでも、知らねばならぬ。知らねば、経験は悪夢のように、いつまでも私に憑いて廻る公算大である。

大岡昇平『俘虜記』 アメリカの美人達はいずれも人に見せる顔をしていた。或る美人は眉を大きく釣り上げて無意味な放心を示し、別の美人は口角を小さく釣り上げて無意味な笑いを浮かべていた(こういう見せるための顔面筋肉の運動が、すべて上方に向かってい…

大岡昇平『成城だより 付 作家の日記』 夕刊で「二俣事件」無罪確定の報を読む。「八海事件」といい、この事件といい、昭和二十五、六年頃の日本の裁判はどうかしていた。最高裁が盛んに差戻しをやるのはいい傾向だが、気になることが一つある、被告の数から…

大岡昇平「歴史・人間・文学」 いまの読書には、ダイジェストで読むという要素が入っていますからね。漱石も鴎外も、古典としてよく読まれているようですけれども、教科書で一部を読んで、文庫本で1冊か2冊読む、あとは読まなくなってしまうというのが実情…

大岡昇平『狡猾になろう』 人がそのおかれている社会的条件を知ろうとする意志を失う時は、最も煽動に乗り易い時である。

大岡昇平『少年』 私はこんな文章を書いているため、この頃渋谷のもと住んでいたあたりを歩く機会が多いのだが、木も家もすっかり変わっているのに、道はその勾配や曲り方まで、昔のままなのに、少し驚いている。都市ではすべては変るが、変らないのが土なの…