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大岡昇平が私たちに教えてくれること

大岡昇平『わが文学に於ける意識と無意識』

 現在、私は『レイテ戦記』の準備をしています。『野火』を書いた時、乏しい資料、俘虜からのあやふやな聞書によって、レイテ島の陸上戦闘の詳細を誤り伝えたのを恢復するためです。私の主題に深くかかわらないとしても、それらをみな事実として読む人もいるからです。レイテ島でよく戦いながら死んで行った人の犠牲において、自分のフィクションを主張した罪を償うためです。