大岡昇平bot

大岡昇平が私たちに教えてくれること

大岡昇平『事件』

 村の様子がかわり始めたのは、終戦後、五キロ北の厚木、座間が進駐軍の基地になってからである。多くの村の若者達が、設営や清掃に狩り出されて行った。

(略)

 金田町の若者達は、もはや農民とは言えなかった。田圃は親父の代までで終りだ、なんていう者も珍しくなかった。酒は祭りや「野上り」の時だけ飲むものではなく、一年中町の飲屋で飲むものになった。