大岡昇平bot

大岡昇平が私たちに教えてくれること

事件

大岡昇平『事件』 村の様子がかわり始めたのは、終戦後、五キロ北の厚木、座間が進駐軍の基地になってからである。多くの村の若者達が、設営や清掃に狩り出されて行った。 (略) 金田町の若者達は、もはや農民とは言えなかった。田圃は親父の代までで終りだ…

大岡昇平『事件』 「最近の青少年の道徳頽廃という問題だけではないと僕は考えます。宏の行動は一般に都市近接農村の農業放棄、青少年の離村傾向と切り離しては、考えられません。父親の喜平が、宏を茅ヶ崎の工場へ働きにやったのも、田圃を手伝わすよりは、…

大岡昇平『事件』 裁判官はいつも事件に追っかけられて、馬車馬のように走っているのである。遅延の結果、幸福の追求を阻まれる当事者に対して、最初はすまないような気がしていたが、いつの間にか、なれっこになってしまった。要するに自分は巨大な組織の一…