大岡昇平bot

大岡昇平が私たちに教えてくれること

大岡昇平『事件』

 裁判官はいつも事件に追っかけられて、馬車馬のように走っているのである。遅延の結果、幸福の追求を阻まれる当事者に対して、最初はすまないような気がしていたが、いつの間にか、なれっこになってしまった。要するに自分は巨大な組織の一部として働いているのであり、みな組織の罪であるという、流行の「組織と人間」論にたよる気持ちなった。