大岡昇平bot

大岡昇平が私たちに教えてくれること

大岡昇平『成城だより』作家の日記1957年11月13日

 1930年代の爆撃機の発達は、やはり戦争を不可能にするだろうといわれていた。開戦後48時間以内に、交戦国の基地、工場は破壊されるということだった。しかしそんなことがちっとも起らなかったため、どんなひどい目に会ったか、我々はよく知っている。

 究極兵器という考えは、我々の希望的観測の典型的なもので、買収された軍事評論家がそれを利用するのである。

 人類が最後の破滅的ショー・ダウンへ向かっていることは間違いのないことだ。造られた兵器が使われずにすんだためしはない。労働者がこの兵器を製作することを拒否することが出来る日まで、だめである。