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大岡昇平が私たちに教えてくれること

大岡昇平『わが文学に於ける意識と無意識』

『朝の歌』『富永太郎の手紙』『花影』『レイテ戦記』を並べてみると、私がずっと死者と交信して暮していることがわかります。

(略)

 以上、私が理性によって捉えた、私の文学的生涯です。この観点から洩れたもの、私の感覚と欲望、感情生活のすべて、そこにも私の文学の源泉はあるはずですが、私自身が書くと不正確になります。他者の判断に俟つほかはありません。